注意:このページの以下の文章は、書いた当時ものがそのまま残されています。
 「P」がついているかないか、と言う問題については、内容が間違っている(つまりこの辺で揚げ足を取られる事態に今まで直面せずに来た)ため、その辺に注意して、以下の文章をお楽しみください。

標準偏差について考えてみよう

 質問:標準偏差とは何ですか?
 回答:バラツキだ!

 質問:標準偏差はどうやって出すのですか?
 回答:エクセルでSTDEVP関数を使うのだ!

 うんうん、これで万事解決。
 質問:あの計算式はどういう意味があるのですか?
 回答:知らん!

 …別に良いじゃん、いまどき計算はみんなコンピュータがやってくれるんだから。
 俺、計算嫌いだし。
 プログラミングが趣味なのも、計算を全部コンピュータがやってくれるからだし。
 だいたい、あの計算式の「Σ」って何だよ?
 俺の高校の数学ではそんなもの、習わなかったぞ。
 おかげで電気基礎の先生、ビオ・サバールの法則を説明するのに凄く困っていたな…。
 それでも何とかなっちゃうんだから、何も困る事は無い。
 はい終わり。
 どうしても答えなきゃならないときは、心理学実験実習のテキストの24ページを読めと答えると良い。

 でもさ、何でああいったことをするのか、たまに気になったりするわけよ。
 そういうわけで、会社で暇な時に、標準偏差の意味を調べるためにエクセルのヘルプを開いてみた。
 たまたま二人、先輩がそれを見ていた。
先輩A「ふーん…」
先輩B「…」
俺「…」
先輩A「腹痛くなってきた」
先輩B「えへへへへ」
俺「自分は…頭が…」
 そんな日の夕方、会社で品質管理の知識を覚えるための教育があった。
 今回のお題は「ヒストグラム」。
 都合の良い事に、標準偏差の出し方が出てら。
 しかしこれを周囲に説明しなければならなくなった人もどうやって説明すれば分からず、途方に暮れ…。
 どちらにしろ、資料を手に入れたわけだ。
 これを機に「ヒストグラム」から始まって、標準偏差の意味を考えてみようじゃないの。

ヒストグラムの理屈

 資料の説明を見ると、「ヒストグラムとは、(略)ものである」
 …えーと、文章で説明しても分かりにくいから、図で説明するぞ。
 とりあえずここで今知りたいのは標準偏差の意味だから、ヒストグラムの書き方のお作法は省略するぞ。

 とりあえず例を書こう。
 10人が1キログラムの石を思い切り投げたとして、こんな結果が出たとする。
 山田:5.3m
 石川:8.2m
 吉井:6.2m
 坂下:4.9m
 藤井:5.2m
 金田:3.8m
 近藤:5.9m
 松下:6.3m
 岩下:7.2m
 藤見:4.8m

 で、これを1メートル区切りで区切って散布図っぽく書くと、こんな風になる。
 飛距離の図

 そして「●」を全部下のほうに寄せてみる。
 移動
 
 山
 普通はこんな風になるんだよ。
 山の形になっているの、分かる?
 こういうのをヒストグラムって言うんだ。
 で、品物の寸法とか、テストの点数とか、みんなが同じ目標を狙おうとしている数字は、普通はこういう風に山の形ができるはずなんだ。
 これがおかしな形をしていると、何かしらの問題が発生している事が読み取れる事があるんだ。
 って事で、次に行こうか。

母集団標準偏差

 さっきのこの表を見て欲しい。
 山
 この表から分かる、全員の投げた石の飛距離の平均は5.78だ。

 つまり、こっちの図の平均は山のてっぺんくらいのところに来る。
 標準偏差

 そして、この山のてっぺんの左右、山のふもとからふもとまでの6分の1くらいのが、標準偏差って言うんだそうだ。
 ちなみに、何で6分の1なのかは知らない…。
 (細かく言うと、平均の線を中心にして、山が9割9部7厘入るくらいの幅の6分の1なんだけれど、今回の表だとデータ不足で山がまるごと幅に入ってしまう)

 で、この標準偏差の計算式が、
 ボの計算式
 と言うわけなのだが、この式を見て拒絶反応をした人手を上げて!
 そんな人はやっぱり、意味を聞かれたら「バラツキだ!」算出方法を聞かれたら「STDEVPでも使っとけ!」と答えて一生を終わると良い、なぁに、その手の仕事に就こうと思わない限り、困る事は多分ないぞ…現にあんた、今までそんな状態でも何も困らずに生きてきたんだから。
 で、もうちょっと見てみるって言う人だけ見てよ。
 式の中の「Σ」は、どうも「片っ端から足す」と言う意味らしい。
 この式で、「N」は、ここでは人数、つまり10人が入る。
 「x」は、表の中に入っている結果の数字の意味だ。  具体的には、「x」の上に横棒が引いてあるのは「エックスバー」とか呼んで、平均の事、つまりここではさっき説明した5.78が入る。
 「xi」って書かれている部分に入る数字は、10人の投げた石の飛距離全部だ。
 って事で、まずルートの中の分子を計算しよう。
 「Σ」の下に「i=1」って書いてあって、上のほうに「N」って書いてある。
 今話した通り、「N」は人数、つまり10がこの場合には入る。
 そうすると、このΣは「1から10までやってね」っていう意味になる。
 って事で、↓この部分をまず計算しよう。
 シグマの部分
 一番最初に引っ張り出してきた、
 山田:5.3m
 石川:8.2m
 吉井:6.2m
 坂下:4.9m
 藤井:5.2m
 金田:3.8m
 近藤:5.9m
 松下:6.3m
 岩下:7.2m
 藤見:4.8m
 この表を見ながら、計算するんだ。
  シグマってみる
 =14.556
 で、後はできるよね?
 14.556÷10=1.4556
 ちなみにこの数字を「母分散」って言うらしいんだけれど、残念ながらこの用語の意味は分からなかった、どうしても調べたかったら、今度こそ統計の資料でも探してみてくれ。
 最後に、この「母分散」を「√」で計算する。
 √1.4556≒1.21
 つまり、10人の投げた石の飛距離の平均は5.78m、標準偏差は約1.21だ。

標本標準偏差

 …って事で、心理学実験実習の24ページに書いてある「母集団標準偏差」の式の意味を説明したんだけれど、実際には「母集団標準偏差」だの「標本標準偏差」だの、色々あって、式が微妙に違ったりするから、まぁ、とりあえずこんな感じのものなんだ、それくらいに考えておけば良いだろう…。
 標本標準偏差の式はこうだ。
 ヒの計算式
 赤文字の部分だけ違いがあるが、まぁ、バラツキの度合いだけ見たいんだったら大して違わないだろ。
 …。
 ん?本当にそんな考え方で良いのか、だと?
 そんな貴方に、確実にこの手の話をマスターできるとっておきの情報を教えてあげる。
 統計の本を手に入れて読め!
 あれが心配、これが心配、とか言っているんだったら、ちゃんと心配が無くなるように努力する事!
 それが嫌だったら、清水の舞台から飛び降りるくらいの勇気を持つ事!
 さぁ二つに一つだ、好きなほうを選べ。

 …いや、もうひとつ選択肢がある。
 たまに人に聞いて、それを元に自分でできるだけ調べる、と言う方法だ。
 人に聞くのは確かに良い方法だ、人がやってうまく行った事は、自分もうまく行く、って考えられるからね。
 だけど、間違えないように教えるって言うのは結構大変なんだ、まして他人がやってうまく行ったのは「たまたま」だったりする事もある、だから教える側の心労を考えて質問しないとダメなのだ。
 こう考えると、科目Q&Aの質問回数が制限されている意味が分かるだろう?
 もっとも、「教えて〜教えさせて〜」って言っている人からは教えてもらう分には、どちらも困らないからどんどん聞けば良いと思うけれど…。

結論

 心理学実験実習の初級で使う分には、標準偏差の数字が大きいほどばらつきが大きいって事だけ覚えて、STDEVP関数とかSTDEV関数でも使ってりゃ勝手に何とかなるだろう。
 でも「STDEV」と「STDEVP」は、どちらを使うかは統一しようね。
 ちなみに俺は「P」派だ。
 レポートに書く際には、具体的には「結果」の見出しの中に、
 「その結果、算出された標準偏差を比べてみると、Aは5.33、Bは2.68であり、AはBよりもばらつきが大きい事が分かっ。」
 って書くんだ。
 何かと比べて書けば良いんだ。

 はい、これで俺の説明は終わるけれど、ここで標準偏差の関数をエクセルでどうやって使うのですかと思った人は手を挙げて!
 行け!教科書28ページが呼んでいる!!!


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